網膜上膜(もうまくじょうまく)、黄斑上膜(おうはんじょうまく)、網膜前膜(もうまくぜんまく)、黄斑前膜(おうはんぜんまく)の手術

網膜上膜と黄斑上膜と網膜前膜と黄斑前膜はすべて同じ病気で、呼び方が違うだけです。現場ではこの4つの言葉が混同されて使われていますので、すべて表記させていただきました。当院医師は、この病気に対し豊富な診断と治療の経験を持っております。お困りの方はご相談ください。

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網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜は、網膜、すなわち目の奥にある、カメラで言うとフィルムにあたる部分の一番大切な中心部分(黄斑部)に膜がはって、物がゆがんで見えたり見づらくなったりする病気です。なんでよりによってここだけ?といいたくなるぐらいに、中心部分だけに膜がはります。

なぜ網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜が生ずるのかは厳密には判明していないのですが、目の中の細胞が長年かかって網膜の中心部に蓄積して膜状になったといわれています。寝ているときはこの部分が一番底になりますからね。

網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜は良性の疾患ですが、張った幕が厚くなってくると収縮し始めるので、その時に網膜を引っ張ってゆがませますので、物がゆがんで見えるようになります。

なので、不便をお感じになるようなら手術、ということになります。

ただし、いくら丁寧にやっても、当然網膜から、そこにべったりへばりついている網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜をはがすときに網膜に負担がかかりますので(網膜は非常に繊細ですから、少しの外力がかかるだけでも機能が落ちます)、術後も視力が完全に戻らない場合があります。なので、矯正視力が0.5を切る様ならばやり時、と考えます。

ですが、患者さんが非常にお困りの場合は、0.5まで落ちないうちに手術をすることもあります。「視力はそこそこ出るのだが、それは単に視力表の輪の開いているところがわかるだけで、ゆがんで見えるので不便で仕方がない」と患者さんはおっしゃいますので、そういう訴えを解決してあげることができれば、と考えております。

下の左の写真が術前です。網膜中心部に膜がはっている感じがわかっていただけますでしょうか。これは、40歳でこのような状態になった患者さんです。通常、高齢者に起こることがほとんどですが、まれに若年者に起こることもあります。

右が術後4週間です。網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜がきれいになっているのがおわかりいただけると思います。

   

網膜の断層写真(OCT)を見てみましょう。

以下が正常網膜の断層写真です。中心部分がややうすくなっています。

 

下の写真が網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜術前のOCTです。網膜上にある膜(網膜上の赤っぽいところ)と、それに引っ張られて網膜が膨れているのがおわかりいただけると思います。

 

術後4週間のOCTです。正常網膜と比較するとまだへなへなしていますが、だいぶ状態を回復していることがおわかりいただけると思います。この後さらに網膜は平らになっていきます。

網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜の手術は、まず眼内の硝子体という部分を除去してから、網膜上の膜をはぎます(硝子体を除去しないと、網膜に到達できないからです)。言うは簡単ですが、ものすごく薄い膜ですし、網膜がいっしょに破れることもありますので、すごくすごく難しいですが、これをきっちりと施行するのがプロのテクニックです。

硝子体手術は入院で手術、というのが一般的です。入院手術をご希望の方は当院土曜日外来担当医師の秋山医師が常勤でいる東京医療センターに紹介して秋山先生に手術をお願いしております。

だたし、この疾患は日帰りでの手術も可能です。当院では鄭医師の開発した目に負担の軽い手術方法を駆使し、網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜の日帰り手術に対応しております。

個人的な意見ですが、院長の私大高も網膜硝子体手術を若い医師に指導しておりますが、その私から見て、どちらの先生も、技術は特Aレベルです。



以下、当院における日帰り網膜硝子体手術による網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜治療担当の鄭医師が書いてくれた、患者さん治療の実例です。ご覧になった患者さんに、困っているのは自分だけではないということがわかって元気を出していただければ、という願いが込められています。



相談ファイル1.セカンドオピニオン目的から手術に至ったケース(A氏のご了承を得て、掲載しております)

(経緯)

「大学病院で黄斑前膜(網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜)と診断され、手術が必要と言われました。2週間の入院が必要だと受付で言われたのですが、仕事が忙しくて休みが取れず、そんなに長く入院できないので、手術を受けられません。インターネットを検索したところ、横浜相鉄ビル眼科医院で鄭医師が日帰りで黄斑前膜(網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜)の手術を施行していると書いてあるのを見つけました。ぜひセカンドオピニオンを聞きたいと考え、来院しました。」(50歳代男性A氏)

当院が日帰り硝子体手術を行っていることをホームページで調べられて、セカンドオピニオン目的で来院されたA氏。主訴(一番困っていること)は約半年前から自覚している右眼視力低下感、像のゆがみ、でした。

(診察結果)

矯正視力 右眼0.5 左眼1.0

眼底検査にて、右眼眼底、網膜中心部の黄斑の前に黄斑前膜(網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜)を認めました。

網膜断層を観察できるOCT検査にて、線状の黄斑前膜(網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜)と黄斑部網膜の肥厚が存在しました。

(診断)

右眼 黄斑前膜(網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜)

(話し合い)

お話を伺い、診察結果・検査結果を説明いたしました。これまでの経過から自然に軽快する可能性は低いと考えられ、大学病院にて硝子体手術を勧められたことは妥当と考えます、とお話しました。

黄斑前膜に対する硝子体手術を行った場合、手術中・手術後早期に・手術後しばらく時間が経過してから、さまざまな合併症が起こる可能性があるので、2週間の入院が必要という方針が間違いではないことを説明しました。

しかしA氏は、少しでも改善する可能性があるなら手術を受けたいが仕事で休みを取れないので入院せずに手術を受けたい、とおっしゃいました。実際、我々も仕事をしていますし、社会に必要とされているA氏が仕事を休めないという状況は非常に理解できるものがありました。

当院のモットーが「状況が許すならば入院で手術を受けるに越したことはなく、患者さんに日帰り手術を無理に勧めない。しかし、状況が許さないために入院手術を受けられず、放置せざるを得ず手遅れになっていた患者さんを当院の日帰り手術で救えるならば救いたい」であることを説明いたしました。

この日は本来セカンドオピニオン目的の来院であったために、日帰り硝子体手術を受けられるかどうか、もう一度考える時間をもっていただきたいと考え、一週間後の再診予定といたしました。

一週間後に再診されたA氏の日帰り硝子体手術を受けたいという意志は固く、次週硝子体手術を行いました。

手術は問題なく終了し、その日A氏は帰宅されました。手術日の夜は特に大きな問題なく過ごせたそうです。手術翌日一過性に眼圧が軽度上昇しましたが、無治療で正常範囲内になりました。現在特に問題はなく、A氏は間隔を開けて通院を続けておられ、視力は徐々に改善していると、喜んでいただいています。


以下、当院における日帰り硝子体手術のチーフサージャンである鄭先生の手術方法です。鄭先生はこの最新のシステムを学会などでプロに教えている、先生の先生です。ゆえに文章もプロ向けのやや難しい内容ですが、ネットを調べてらっしゃる患者さんは賢い方が多いので、敬意を込めて、あえてそのまま掲載いたしました。


[ 25ゲージ硝子体手術システムとは ]

創口を可能な限り小さくする低侵襲手術は全科的な取り組みであり、眼科では小切開無縫合白内障手術が既に定着しています。網膜剥離、増殖糖尿病網膜症などの重症網膜硝子体疾患の治療法として確立された硝子体手術においても1990年にアメリカで小切開無縫合硝子体手術のプロトタイプが作製されました。

従来の3ポート硝子体手術では、結膜を約半周〜全周(18mm〜36mm)切開した後、20ゲージ(1mm強)の強膜創を3ケ所作成して、器具の出し入れを行います。手術終了前には、眼圧を保つために強膜創をしっかり縫合し、結膜を整復するために結膜縫合を行います。

2002年に発表された25ゲージ経結膜的硝子体手術の臨床報告では、開始時に25ゲージ(内径0.5mm、外径0.63mm)サイズのトロッカーを、結膜切開をせずに結膜上から直接挿入し、終了時には抜去するだけで終了できる無縫合硝子体手術が可能であるとされました。従来の硝子体手術システムと比較し、手術時間の短縮化、術後の患者不快感・乱視の軽減、炎症が少ないための術後回復期間の短縮化、などが達成されました。

[ 私のチームが独自に開発したシステムと、その良いところ ]

2002年秋には日本でもトロッカー方式のTSV25TM(ボシュロム社)が導入されました。その後、器具の改良に伴う適応疾患の拡大に伴い、全国で施行例が大幅に増加しています。しかし、トロッカー方式も完全なものとはなっておらず、その問題点を改善するべく、2003年より京都府立医大の私のチームはニデック社と共同で、トロッカーは用いず、特殊シリコンリングで結膜を圧迫し結膜移動を防止することによって25ゲージ経結膜的硝子体手術を行う新システムJ25VS TM(Just 25-gauge vitrectomy system)を開発しました。

この新方式はトロッカー方式と比較し、より小さな創口を通しての手術施行が可能であり、結果的に無縫合率が高くなります。また、器具の可動域や操作性も高く、増殖糖尿病網膜症や増殖硝子体網膜症などの重篤な網膜硝子体疾患の治療に応用することにより、適応疾患の拡大が可能になることが期待されています。

器械や器具の進歩に伴い、また、経験の積み重ねにより、より安全性の高い網膜硝子体手術が施行され、網膜硝子体疾患分野においても日帰り手術が可能となっています。

質問のある方は、以下の鄭のアドレスにメールを下さい。できる範囲でお答えしております。

鄭メールアドレス mtei@y2.dion.ne.jp


大高mail: otaka@isao.com

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