横浜相鉄ビル眼科医院 白内障(はくないしょう)の手術と患者さんの声

白内障の手術には非常に自信を持っております。白内障の手術を受けた患者さんの声はこのページの下方をご覧下さい。

私、院長の大高が「自信がある」と言うのには理由があります。

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●白内障とは?

目はカメラと似た構造になっています。レンズにあたる部分が水晶体(すいしょうたい)、フィルムにあたる部分が網膜(もうまく)です。水晶体が加齢やアトピー性皮膚炎などの全身疾患で白く濁って、視力が低下した状態が白内障です。全身疾患が特にない若い人で発症する方も多くいらっしゃいます。

●手術はいつ受ければいいですか?

白内障は、「患者さんが不便をお感じになると手術で治療」、ということになります。しかし、「不便を感じたときって、いつ?」という質問を多く受けます。

個人的には、「矯正視力、すなわちめがねで最大限に矯正した時の視力が0.5をきるようになってきますと、手術を検討してください」、と話しています。

というのは、現代の手術では水晶体の中身をくだいて吸い取ってきれいにしますので、あまりに進行すると、中身が硬くなって手術がやりにくくなります。手術がやりにくいということは成功率が落ちるということなので、患者さんにとってデメリットになるわけです。といっても、矯正視力が0.1になるまで眼科にも行かずにほっとくようなお気楽な人もごくごく身近にいるので(私の実の母親です! 体験記はこのページの下をご覧下さい)・・・どれだけ進んでいてもあきれたりおこったりしませんから、気軽に受診してください(^^)

●手術のやりかた

水晶体はキャンディーのような構造になっています。すなわち、キャンディー本体(核)が袋(水晶体嚢(のう))につつまれているわけです。

白内障は、核がにごった状態です。

手術は、嚢の上の部分を丸く切り取って、核のみを超音波で砕いて吸引して、水晶体嚢に眼内レンズを入れます。

言うは簡単なのですが、この水晶体嚢は非常に繊細で、すぐ破損してしまいます。嚢が非常に弱いとかいう理由で破損がやむを得ない場合が多々ありますが、そうでない場合は破損しないようにやることが大切です。

●私が自信を持っているポイント

私は前の職場の静岡では、地元の開業医の先生方から多くの患者さんを紹介していただきました。プロから患者さんを紹介していただく、というのは大変光栄なことで、技術が認められている証拠だと思っています。しかし、患者さんの中には開業医さんご自身のご家族や、ドクター自身も含まれますので、プレッシャーは相当なもんです。医者の不養生といいます。ドクターやその家族は往々にして進行した難しい症例です。

また、平成14年1月から平成17年3月まで、和歌山県のクリニックにて、999人の白内障手術をいたしました(クリニックは、院長の引退に付き廃院)。月平均25.61人です。月といっても、1ヶ月に行くのは1日だけです。純粋なプロとして雇われて手術をしているわけで、絶対に失敗が許されない環境で、1日で、難しい症例も含まれる25人から26人ぐらいを手術してきました。

現在でも、横浜相鉄ビル眼科医院以外に、西伊豆眼科クリニック(横浜相鉄ビル眼科医院と同じ医療法人が土日に運営するクリニックです)で、毎月白内障手術をやっています。

西伊豆では、一人暮らしの母に数年ぶりに家族が会いに行ったら寝たきりで、どうも目が見えないような感じなので眼科を受診すると、もう絶望的に進行した白内障で、行きはたんかで運ばれてきたのに、手術が終わったらすたすた歩いて帰る、そんな患者さんもいます。

こういう極限まで進行した患者さんの手術はただでさえ非常に難しい上に、しかも必ず(失礼な言葉ながら)ボケているので(ま、ボケていなければその前に自分で病院に行きますよね)、手術中患者さんがあばれたりしますので、絶望的に困難です。こんな、都会ではありえないような症例の手術もやっています。

そんな中で技術を磨いてきましたし、今も日々磨いていますので、手術の安定性、技術に関しては絶対の自信を持っています。しかし、決して己の腕におぼれることなく、今後も研鑽してまいります。慢心は技術の一番の大敵ですから。


●手術に関しての私たちのこだわり。

最近マスコミなどで、手術時間の短さをうりものにするドクターが見受けられますが、私たちはまったく違うことを重視して手術をやっています。

私は本来、他のドクターのことを書くのは本意ではありませんが、例えば「4分で白内障手術ができる!」ということが宣伝されると、あたかもそれ以上かかるドクターの手術が下手のような印象を与えるもので、実際にそのように理解している患者さんが多く、実際私以外にも真面目にやっている多くの眼科医たちがたいへん迷惑していますし、わたくしのサイトを読んで勉強してくださっている若い眼科医(が結構いると若手の先生から教えていただきました)にも良くないですから、自分の主張をあえて書かせていただきます。

手術は時間の短さをうりものにしてはならない、それを端的に示す1例をご覧ください。

以下のの写真は、「4分で白内障手術ができる!」という先生のところで手術を受けた患者さんの術後です(2007年7月11日手術)。

よく見ると、瞳孔が2時方向に引っ張られて、変形しているのがわかります。

2時方向の角膜と結膜(白目)の境目(矢印の部分)に切開創があるのですが、そこに虹彩(茶色い部分)がはさまって引っ張られているからです。虹彩の模様が2時方向に引っ張られる形で変形していることからもおわかりいただけると思います。

これは、「切開部の構築が雑」で、そして、手術終了直前に必ず行うべきである「切開部の構造の確認、切開創からの水漏れの確認が不十分、ないしは省略されていた」ということがダブルで発生したと思われます。

それゆえ、術後早期に切開創から水が漏れて虹彩がはさまったか、術中にすでにはさまっていたものがそのままになっていたものと思われます。

現代の白内障手術は、切開創を縫わないで閉じるというテクニックを使うので、その分眼内圧で密着するようにうまく切開創を構築すること、そして最後にしっかり確認することが非常に大切なのです。

患者さんは、虹彩がつねられている状態なので、痛みを訴えられていました。しかし、痛いだけなら、その部分の神経が麻痺していつか収まってきますからまだいいのです。

この状態ですと、虹彩が空気に接する可能性があります。虹彩が空気に接している状態が続くと、体内に虹彩に対する抗体ができて、この目のみならず、逆の目の虹彩もその抗体に攻撃されて、炎症が起こって、両眼失明の危険があります(交感性眼炎として知られる、不思議な現象です)。なので、これは眼科的には大トラブルなのです。

胃を切除する開腹手術をしたら、切開部に腸がはさまっていたまま退院した、というのと同じ、というとわかりやすいかもしれません。経験を積んだオペレーターとしてはかなり恥ずかしい、初歩的な、いや、初心者でもやらないほどの重大なミスです。

その先生の名誉のために言いますと、この症例は視力はちゃんと出ておりました。また、ほとんどの症例で問題なく手術をなさってるのだろうと思います。

ですが、手術は、手術時間の早さを重視すると、経験を積んだ術者をもってしても、時にこのような問題が発生しうるということです。

私たちのこだわりは真逆です。

最近5件連続の自分の手術のビデオを見たところ、普通の症例は、手術時間は平均10分ほどでした。自分はこれで十分すぎるぐらい早いと思っていますので、あえてゆっくりやるよう心掛けています。特に難しい症例ですと、30分とか1時間とかかけてゆっくりやる場合もあります。

手術時間の短縮を最大の目的とせず、最後まで手を抜かない仕事と良い仕上がりを目的とする。そのために、まれにしか発生しないトラブルも常に想定して、かけるべき時間はかける。そして、特に眼内ではあえて優しくゆっくり動くことにより、目へのダメージを最低限にとどめる(速い動きは眼内の水の乱れを発生さすので、眼内組織のダメージにつながる)。これが私たちのプロとしてのこだわりです。

どんな仕事でも、プロの仕事は、結果的に早くなることはあっても、早い事を最大の目的としてはならない。そこが目的になってしまうと、エラーや手抜きが増える、と考えています。

みなさんもご自身の仕事に関してはプロか、元プロです。主婦なら、家事や育児のプロです。プロフェッショナルには、自分たちの言いたいことをわかっていただけると思っています。

白内障手術の名医だと言っていただくことはありますが、名医は他にもたくさんいますし、そういう先生方を尊敬しています。時間をかけるべきところにしっかりかけて確実な手術を淡々とやっていけるドクターが名医なんだと思います。


●手術のビデオは

https://youtu.be/8aFo717cJOk

ご覧下さい。現在はもっと小さな切開から手術をやっておりますので術式が少々違いますが、基本部分は同じです。操作をゆっくり丁寧にやわらかくやりつつも、無駄なく早く終わっている感じをわかっていただければ幸いです。

ビデオ撮影用に特別にやった症例ではなく、たまたま撮影した普通の症例をあえて出していますので、少々見づらい部分などがあることをご容赦下さい。

●難症例手術のビデオは

https://youtu.be/0QpCZ6Kbo9w

をご覧ください。

大高功医師が横浜相鉄ビル眼科医院にて行った、難症例の白内障手術です。公開を前提に撮っていませんので、コマ落ち、見づらい部分などがあることをお許しください。また、プロの方もご覧になることが前提になっていますので、時々専門用語があることをお許しください。 前嚢がガチガチに硬くて(プロの方へ:ASCではなくてACC、anterior capsular cataract と言うべきでしょう)、過熟白内障(mature cat)、過熟なのに中の中がけっこう硬い(NS)、膨化白内障(intumescent cat)、きょろきょろする(キョロ)、という、最も手術が難しいランクに入ると思われる症例です。 通常の白内障はできて当然、このような難しい症例ができてこそ真のプロだと自分では思っていますので、日々精進しています。プロの方、特に白内障手術を修行中の先生には、手術の参考にしていただければ幸いです。

もっと難症例は

https://youtu.be/e9IC8_4igeo (緑内障術後の白内障手術。核が超固い、水晶体がめちゃくちゃ弱い)

https://youtu.be/_OKIic62NnQ (病気で震えが止まらない患者さんの白内障手術)

https://youtu.be/vHtFimN1z9g (これは上のと同じビデオですが、音声での解説付きです)

などです。

●手術時の風景は

http://youtu.be/LsqFlKYD51w

です。 自分たちにとってはいつもの光景なのでそんなに面白くないかなぁと思うのですが、手術室でどんなことをやっているかを見る機会は滅多にないと思いますので、興味のある方はご覧ください。

●自分らにとって一番困難な、体質的に水晶体がめちゃくちゃ弱い患者さんへのオペをどうやって切り抜けるか、は、以下のビデオをご覧ください。

https://youtu.be/YdpRfxbx-Os

●白内障手術をすると、眼圧が下がることがあり、緑内障の患者さんにとって、とても良い場合があります。以下、カルテのビデオです。

https://youtu.be/xw7JB2Q1Qx8



●All About さんに、我々のチームの白内障手術への取り組みをご評価いただき、取材と掲載をしていただきました。

https://allabout.co.jp/gm/gc/301714/

また、白内障手術他の手術を評価していただき、平成23年3月23日に、TBSさんの「これが世界のスーパードクター」に出していただきました。著作権の関係上、映像は非公開とさせてください。



●手術を受けた患者さんの声は、http://isao.com/cat.htm ご覧ください。病院の公式サイトに体験談を掲載してはいけない、という法律ができましたので、お手数かけて申し訳ございません。



●当院では、大高医師鄭医師が白内障手術を施行しております。両医師とも、成績は同等で、成功率は極めて高いと自負しております。失敗っていうのは・・・記憶にある限り、なし、です。



●最近ある多焦点眼内レンズ(2重焦点眼内レンズ)について

よくある誤解を修正しておきたいのですが、多焦点眼内レンズは2焦点、すなわち、近くと遠くだけにピントが合うということです。最近3も出てきましたが・・・2でも3でも1と比較すると、多、には違いないのですが・・・

もう一つ誤解のないように言っておきますと、多焦点眼内レンズを入れる手術の手技は、従来からある単焦点眼内レンズと全く同じで、入れるものが違うだけなので、特に高度な医療というわけではありません。国が指定する「高度先進医療」というカテゴリーに入っていますが、「レンズが今までよりは高度な技術で作られている」というだけです。

当院では多焦点眼内レンズは取り扱っておりません。

●その理由

多焦点眼内レンズの代表的なものは、中心部が遠、そのまわりが近、その周りが遠、そのまわりが近・・・・・のように、リング状に2つのレンズが存在しているという構造になっています。

すなわち、入ってくる光を近くと遠くに2分割しているわけです。

ということは、物理的に言うと、近くも遠くも、単焦点レンズの場合と比べて半分ずつのクリアー度でしか見えてないというわけです。

なので、もともとの要求度が高くない人は、「遠くも近くも両方見えるしうれしい」とお感じになるわけですが、要求度のある程度高い人は、「近くも遠くも見えない」となる可能性があるわけです。

さらに、どういうわけか多焦点眼内レンズが目に全く合わないという人がある一定数いらっしゃるようで、そういう方が手術を受けると、術後に永遠と続く眼痛や頭痛に悩まされるというとんでもないことになります。

当院にも、他院で先生に勧められて多焦点眼内レンズを入れたが、こんなはずじゃなかったと嘆いている患者さんがいらっしゃいます。例として、以下のカルテをご覧ください。



10年以上前より多焦点のコンタクトレンズは存在しておりますが、このコンタクトレンズが大ブレークしているという話は聞きません。やってみたけど見えが悪いとか頭痛がひどいのでやめたという患者さんを数多く見ました。

コンタクトは気に入らなければやめればしまいです。しかし、それを目の中に入れてしまうのはどうなのでしょうか。眼内レンズは一度目に入れたら実質取り出せません。取り出すと目の中がぐちゃぐちゃになるからです。

多焦点眼内レンズを自分に入れたという眼科医に出会ったことがありませんし、自分の親に入れたという人も聞いたことがありません。もちろん、私は自分にはやめてもらいたいと思います。

片や、 従来のレンズで、当院で大高が執刀した大高の母はいつも大喜びしています。大高の叔母(樫山徳子、横浜市金沢区在住)も大喜びしています。眼科界のすべてを知る中村泰久先生が奥様(奥様も眼科医)の白内障手術を横浜相鉄ビル眼科医院で大高が執刀せよ、とご指名下さったのですが、奥様はご自身の眼科医としての判断で多焦点レンズではなくて単焦点を選択され、今とても満足して下さっています。

当院では、当院を信じてくださる患者さんのために、実績があってほとんどの患者さんに喜んでもらえる技術だけを採用しております。たとえ目新しくとも、喜ぶ人もいるけど、後悔している人もたくさんいる、そのような技術は採用しないことにしています。みんなが飛びついたが、その後死屍累々という技術をたくさん見てきましたから。

以上のような理由で、当院は多焦点眼内レンズをあえて採用していません。

また、コンタクトで多焦点の決定的な商品が開発できなかったものが、より開発の難しい眼内レンズ(コンタクトは試作品を試すのが簡単ですが、眼内レンズは人間で簡単に試せないから)で今後開発されるとも思いませんから、今後も採用の予定はありません。

もちろん手術を手掛けてらっしゃる先生方のご努力を否定するものではありません。希望される患者さんの気持ちもわかります。ご希望の患者さんは、たいへん申し訳ございませんが、採用されている病院を受診していただければ幸いです。

大高個人のサイトに、大高が白内障手術をさせてもらった、大高が尊敬する歯科医、藤沢市の藤が丘デンタルクリニック院長、堀田祐二先生の白内障手術体験談、参考になさってください。後に続く患者さんたちのために、実名OKしてくださいました。医師自身が単焦点眼内レンズでどれだけ満足してくださっているか、よくわかっていただけると思います。

患者さんからの声は病院の公式サイトに掲載してはいけないという法律がありますので、堀田先生の声はここでは掲載できません。すみません。

●よくある質問ですが・・・なぜ多焦点眼内レンズを推奨する先生と推奨しない先生がいるのでしょうか?

以下は自分のつぶやきです。気に入らない時は聞き流してください。

二人の医師が180度違うことを勧めている場合、医師が儲からない方法を勧めてくれている側が正しい事がほとんどだと自分は思っています。歯科なんかでよく経験します。

白内障手術医の体は一つなので、その医師が手術の難しい重症例も受け入れている場合、年間に手術できる患者さんの数は1000人ぐらいと限りがあります。

もしキャパシティいっぱいに手術できるほど患者さんがいる場合、病院の収入をさらに増やすには・・・商売の用語で言うと、「客単価をあげる」しか方法がありません。

白内障手術を受ける患者さんの客単価を上げるには・・・多焦点眼内レンズを勧めるのはとても有効な方法です。

病院も事業です。客単価を上げて、より多くの収益を得ようとすること自体は自分は否定しません。

多焦点を入れて、近くも遠くも見えるようになったので良かったと言っている人は間違いなくいます。なので、この技術自体も自分は否定はしません。

「この手術を受けると、体にフィットした場合、近くも遠くも見えますから、とても幸せになれます。ですが、一部、上記カルテのように、とんでもない後遺症に悩んでいる人もいます。多焦点眼内レンズは一度入れると事実上交換ができないので、人生めちゃめちゃになるかもしれません。それでも良ければご検討下さい」という説明がちゃんとあるならば、それは「新しい技術を導入し、それを選択する患者さんにその技術を提供し、結果として客単価を上げることに成功している病院」かと・・・

そういう説明のない病院は「儲け主義の病院」かと・・・

自分らは、患者さんにとっての最大多数の最大幸福を追求して、それによってより多くの患者さんから信頼されることにより、継続的な医業をやっていきたいと考えています。患者さんの浄財のおかげで生活するに十分な報酬をいただいていますから、「客単価を上げたい」とも思っていませんし、「儲け主義」と言われるのも嫌です。

なので、自分らは、「多焦点眼内レンズは、あなたにに合うか合わないか、入れてみるまでわかりません。幸せになれるかもしれませんが、もしかして人生めちゃめちゃになるかもしれません。従来からある単焦点眼内レンズはそんな大問題起こりませんし、若い人からお年寄りまで幸せになっている人がいっぱいいますから、1つしかない大切な自分の体を使ってそんな博打(ばくち)はうたないでください」と伝えているというわけです。

最近うちで白内障手術を受けてくださった若い内科ドクターも、「多焦点眼内レンズに興味があったが、大高先生のホームページを見て単焦点眼内レンズを選択してほんとうに良かった」とおっしゃってくださいました。

ゴルフでいうと、大高キャディが「お客さん、最後のホールはボギーで予選通ります。ここはバーディー狙いだと池に落ちたりでひどいスコアになりえますから、このホールは固く行きましょう。固くいけばお客さんなら普通にパー、悪くてもボギーで上がれるホールですから」と勧めているわけです。

ゴルフなら、それでも勝負するのもありです。ですが、手術は予選通過しないと人生めちゃくちゃです。ガチガチに固くいってほしいのです。

うまく説明できていないかもしれませんが、みなさんなりにご理解いただければ幸いと存じます。


●特殊難手術例

下の左の写真は白内障の中でも最も難症例であるMature type(成熟型)といわれるタイプです。進みきった白内障のために、瞳の中が真っ白なのがわかっていただけると思います。ふつうこんな目、見たこと無いでしょ? こうなると、矯正視力は0.01もありません。

こうなると手術がたいへんです。白内障の手術が一般的になった現代、こういう症例にこそ腕の差が出ますので、プロにも感心してもらえる手術を常にできるように技術を磨いています。

下の右の写真が術後です。瞳が真っ黒に戻っています。目の中は暗いので、白くなった水晶体核を取り出して入れた透明な眼内レンズをとおして、黒く見えるわけです。眼内レンズは透明すぎて写真では全く見えません。反射光は角膜で反射しているものです。手術1週間目です。われながらきれいにできていると思います。

手術は、麻酔も含めて痛みが全く無かったと皆さんおっしゃいますね。その点は一番安心してください。手術をうまくやることは当然として、痛くない麻酔に徹底的にこだわっています。ここが患者さんにとっては一番の心配事ですからね。


 ⇒  

●以下、ご紹介くださる先生に代表されるプロと、プロ級の知識を求める患者さん向けです。

上の症例はNSが進行しすぎて mature+intumescent になった、最も難易度の高い部類に入る症例です。PEAではなくて、ECCEで施行後1週間の写真です。平成17年頃の症例でしょうか。ECCEにもかかわらず、虹彩のダメージも上方に最小限で、うまくできていると思います。

Matureは、

NSが進んで真ん中が茶色いもの
NSが進みに進んで真ん中まで真っ白なもの
Corticalが進んで真ん中まで真っ白なもの

の3タイプに頭の中で分けて、中が茶色いものだけはあえて安全のためにECCEで施行するようにしていましたが、平成20年頃から、すべてPEAでやるようになりました。ですが、昔から磨いてきたECCEの技術は決して忘れていません。

matureの場合、前嚢をトレパンブルーで染色しています。染色の過程で、トレパンブルーが角膜内皮に接触すると、内皮は大幅に減少しますので、注意が必要です。試行錯誤の上、最近は内皮に全く接触させることなく、しかも前嚢をばっちり染められるようになりました。その後CCCの時にヒーロンVを使用することにより、ここ3年はmature+intumescent例でもCCCの成功率100%です。

当院ではインターネットを見たアトピーの患者さんが多くいらっしゃいます。この場合、「mature+intumescent+ASC+若年症例」という、これまたありえないぐらい難しいタイプが多々ありますが、特殊症例も数多くこなしているために技術が向上し、問題なくクリアーできています。

プロの方は3時と6時に残るcortexを発見されると思います。Matureの時は前嚢にcortexがつよくこびりついていますが、視力に影響がないので、最後までは無理にとりません。チン氏帯が弱いことも多く、トラブルの元となるからです。名より実をとるための、このへんの見切りも大切にしています。

昔から難症例のECCEを数多くやってきました。すべてPEAになった現代も、チン氏が非常に弱いなどの問題があればいつでもECCEにコンバートできる道具、手技を常にスタンバイしております。

めったに使わないものも含めて、技術の引き出しを数多く用意しておく。自分は眼科手術のプロですから、こういう部分を大切にしています。


患者さんからの質問です。


●白内障摘出手術に適した季節はありますか?

特にないです。夏だからといって、ばい菌が入りやすいとかいうこともないですね。

●両目を手術したいのですが、どれぐらい間隔をあければよいのですか?

当院では1週間あけて両目、が多いですが、すべては患者さんの希望次第です。両眼白内障があっても、片目をやってからもう片目を数年たってからやる人(私の母もそうでした)もいます。

●両目を同日にはできないのですか?

簡単に可能です。ですが、

@もし器具が汚染されていたとかで感染が起こった場合、両眼に起こってしまう。
A特異体質で、手術で想定外の反応が出る場合、両眼に出て取り返しがつかない。

などの理由で、必ず日を分けてやるようにしています。

当院は上記のことが最も起こりにくい病院の一つと自負しておりますが、それでもそういうことまで想定してリスクヘッジして、患者さんに、任せて安心と思われる医療を提供するのがほんとうのプロの仕事だと考えています。

両眼を同時にやるメリットは・・・医療機関が儲かるということです。手術の労力は、手術自体よりも、準備と患者さんの案内などが大部分ですから、少しの時間と手間の追加で倍儲かります。

患者さんにとっては1日で終わるというメリットはあると思いますが、上記のデメリットはもし起こると一生が暗転ですから、デメリットのほうがメリットと比較にならないぐらいでかいと思います。

良心の無い病院は、同じ器具と同じセッティングを使って両眼をやってしまうのでしょう。それが一番楽ですから。もう少し良心がある病院は、器具を2セット使って、術者や助手の手袋なんかも変えて、患者さんのドレープも変えて、両眼を一連の流れでやるのでしょう。それによって、@のリスクは軽減できますから。

ですが、ほんとうに良心的な病院は、両眼同時手術をやらないのだと自分は考えています。

自分は、こういうところでその病院が儲け主義か、ほんとうの良心を持ってやっている病院かを見ています。

●手術のときにかつらをとる必要はありますか?

とらなくても大丈夫です。かつらかどうかに関する質問もしません。



術後

●術後の運動、生活についての注意点を教えてください。

患者さんからよく「そろそろプールいいですか?」「いつから仕事をしてもいいですか?」などの質問を頻繁に受けます。正直に言うと、質問されるお気持ちは100%理解しつつも、医療スタッフは回答に困っています。というのは、例えばプールに行くといっても、オリンピック選手のように練習をする人から、ただプールを歩くだけの人までいるし、仕事の内容も全くわからないからです(^^)

以下には、ごくごく一般的な日本人である大高がもし患者ならこうするというのを書いておきます。最終的な判断は自己責任でお願いします。ともかくも、術後半年は特別に患部を大事にしてくださいというわけです。

白内障手術で避けるべきは「ぶつけること(傷が開く)」「水や汗が目に入ること(目の中に入ると感染を起こす)」です。特に最初の1ヶ月は感染に
注意です。そこを乗り切ると感染が起こる確率が大幅に減ります。

☆ゴルフや登山は1週間で開始しますが、暑くて汗が目に入る季節なら1ヶ月我慢します。球技は目にボールがぶつかるようなことがないように、保護用眼鏡
(防御の為のサングラス、透明でもよい)を一生着用します。

☆テニスや卓球なんかは汗をすごくかくので、1ヶ月は我慢します。やるなら一生保護用眼鏡はかけます。好きなサッカーは目にボールが当たるとアウトなの
で一生我慢やらないです。

☆海やプール(屋内、屋外)に入るのは3ヶ月以降にして、6ヶ月まではもぐらないようにします。プールを歩きは1ヵ月後から。ゴーグルは一生着用しま
す。

☆コンタクトレンズは、自分なら半年後から開始にします。3ヶ月でも問題は出ていないですが、決して推奨はしないです。

☆車の運転、自転車バイクは1週間後からにしますね。

☆お酒は正直あんまり問題ないですね。当日は眼の炎症が強くなるといやなのでやめときますが、翌日からは飲んじゃいます。深酒は免疫力が落ちるので、
1ヶ月は軽く、ビール大瓶で1本、日本酒1合ぐらいにしておきます。

☆仕事や旅や本やテレビやパソコンは、手術の週いっぱいまで休みます。飛行機は当日からでも問題ありません。

●手術後、(順調な場合)通院は、どの位の頻度でどの位の期間、通院が必要ですか?

標準的には、翌日、2日から4日後、1週間後・・・にみて、

術後1ヶ月までは週1回、
2ヶ月目は2週間に1回
6ヶ月目までは月に1回

です。経過良好の場合、患者さんのご都合により間引くことは可能ですので、ご相談ください。

●手術後、(順調な場合)どの位の期間で、見え方が固定されてくるのですか?

翌日から見えると喜んでいただけることが多いですが、手術が難しい目の場合は、2週間ぐらいかかることもあります。めがねが作れるぐらい完全に固定するのは3ヶ月ぐらいです。

●遠方から手術を受けに行きたいのですか、術後、近くの先生を紹介してもらえますか?

大丈夫です。当院は、白内障手術に関しても、北海道から沖縄まで遠方の方もたくさんいます。慣れていますので、任せておいてください。



眼鏡

●白内障予防に適した眼鏡はありますか?

よほど強い紫外線を長時間浴びるとかでない限り、白内障に関しては、紫外線を過剰に意識することはないと考えます。その根拠は、紫外線を特に多く浴びる職業(猟師さんとか)に、翼状片などの病気は際立って多いのですが、白内障が特に多いという印象がないからです。

ですが、厳密に言うと、紫外線は白内障を少しは進行させますので、ものすごく気になる方は、眼鏡の装用をお勧めします。

眼鏡は、サングラスのように色がついている必要はありません。透明でも紫外線がカットできる眼鏡(UVカット)ならば良いです。まぶしいとかで色をつけたい方は、薄めの色、黄色やピンクや茶色系をお勧めします。自分たちも製品を出していますので、ここをご覧いただけると、自分たちの製品以外を購入される場合の参考にもなるかと思います。

●術後、眼鏡を作成する場合、手術後、いつ頃、作成できるのでしょうか?

3ヶ月ですね。術後3ヶ月間は度数が変わるので、作った眼鏡が無駄になるとみなさんのお金がもったいないからです。

ですが、やっぱりどうしても早く眼鏡がほしいということで作成される方はけっこういらっしゃいます。それは個人の自由です。当院で処方箋を交付してもいいですが、混んでいる時とかは時間がかかりますから、眼鏡屋さんに直接行かれて良いかと思います。早く作る場合も、せめて術後1週間は待たれたほうがいいかと思います。

●眼鏡はいくつぐらい必要でしょうか?遠用と近用は分けたほうがいいのですか?

すべて、眼鏡屋さんと相談して、お好みどおりにされると良いかと思います。

最大に多い人で遠用中用近用の3つ作っている人もいますが、何もかけなくても問題なくすごしている方もいらっしゃいます。

●術後、目を保護するために薄めのサングラスのようなものをかけたいのですが、先生のお勧めはありますか?

現在、いろんな良い製品がありますので、眼鏡店さんで相談されると、たいてい適切なアドバイスが得られると考えます。ですが、そういう信頼できる眼鏡店さんをご存知ない方のために、自分たちも目を保護する薄いサングラス(アイプロテクショングラス)を提供しています。度つきも可能です。

興味のある方はここをご覧下さい。自分たちの眼鏡を買わなくてもいいですから、ご覧になると、みなさんが自分で購入される場合のヒントにもなるかと思います。

●眼鏡店は、ご紹介いただけるのでしょうか?

当院は特定の業者さんと癒着することによる患者さんの不利益を避けるため、提携している眼鏡屋さんがありませんので紹介していませんが、行くあてがなければ、近所でちゃんと作ってくれるところを紹介しています。



他院

●他院で白内障手術を受けましたが、術後経過がおもわしくないので、今後 、横浜相鉄ビル眼科医院診ていただけますか?

もちろん大丈夫です。ちなみに、みなさんに少しでも良くなってもらえるよう努力はしますが、前医の治療に関しては、前医に迷惑をかけたくないので、基本的にノーコメントとさせていただいています。

●その際、今の病院のカルテのコピーは必要ですか?

必要ないです。

●他院での白内障術後、まぶしくてしかたがないのですが、何かいい方法はありませんか?

うちではめったに言われないのですが、案外これでうちを受診される方がいます。自分たちが作っているアイプロテクショングラスをお勧めしたいです。ぜひここをご覧ください。



mail: otaka@isao.com

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